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身体のためだけじゃない。運動が脳に与える影響を解説します

ブログをご覧下さりありがとうございます。

パーソナルジムBIOHACKのアスレティックトレーナー、坂内です。

 

先日、製薬会社大手のエーザイが、

アメリカの医薬品大手バイオジェンと共同で

認知症であるアルツハイマー病に対して開発中の新薬について、

治験で症状の悪化を抑制する効果を確認したとの発表をしました。

 

医療の進歩でこういった新薬がどんどん開発されていくのは

素晴らしいことだと思います。

 

 

しかしこの先超高齢化社会といわれる中で、

治療だけでなく、その予防に目を向けることも大事なのではないでしょうか。

 

たとえば今回のニュースで挙げられたアルツハイマー病は、

10-20年も前からその発症の予兆がみられるとされています。

 

そんなに時間に猶予があるならば、

早い段階で予防なり、改善が見込めるはずです。

 

そして認知症の予防及び改善に大きな効果があると

言われていることの一つが、運動といわれています。

 

運動が身体に良いなら脳にも良いんだろうなと

何となく思えますが、

なぜ、そしてどんな運動が良いのか?

というところまでは、案外知られていないように感じます。

 

このブログでは

・世界や日本での認知症(や、認知機能の低下)の現状

・運動が認知症に与える影響

 

を解説していきたいと思います。

 

世界や日本での認知症の現状

 

WHOによると、認知症は、2015年時点では

全世界の5,000万人が罹患していたとされています。

これは、世界の60歳以上の高齢者の人口の

およそ5%だそうです。

 

そして、2030年には認知症の世界での罹患者数は

8,200万人、2050年には1億5,200万人に達すると

予測されています。

 

認知症患者の増加は、患者家族やその個人の

経済的負担の増加ともいえます。

2015年、認知症に費やされた額は

全世界で818億ドルとも推定されており、

そしてこのうち約85%は医療費ではなく、

家族による介護や介護保険に

関連していると言われています。

 

 

日本にフォーカスして数字を見てみましょう。

 

2015年の日本の認知症患者は約300万人、

2030年には440万人、そして2050年には

520万人が認知症に罹患すると予測されています。

 

そして日本国内での認知症に関わるコストは

2015年で約14.5兆円、2030年に21兆円を上回り、

2060年には25兆円以上に達すると推計されています。

 

認知症の早期の予防や進行を遅らせることは

個人の健康や生活の質を向上させることはもちろん、

個人やその家族の経済的負担の軽減にもつながるといえます。

 

運動が認知症に与える影響

認知症の予防、もしくは軽度の認知症の人に対して

WHOは、

・禁煙

・栄養

・アルコール摂取の制限

 

などといった介入を推奨していますが、

身体活動=運動による介入を

一番初めに推奨項目として挙げています。

 

たとえば認知症の一つであるアルツハイマー病では、

原因の一説としてタウというタンパク質が

脳の神経細胞の中で蓄積され、神経細胞の死を誘発。

それと同時に脳の炎症を誘発するといわれており、

実際に画像診断では、アルツハイマー病の患者の脳内には

広範囲で炎症が生じていることが報告されています。

 

いくつかの研究では、運動によって

TNF-αやIL-6といった神経細胞死などに関わる

主要な炎症マーカーが大幅に減少したと

報告しています。

 

また、BDNF=脳由来神経栄養因子

という神経細胞の発生や成長、再生や維持を促進し、

脳の活性化に大きく関わる成分は、

中長期にわたる継続的な運動で増加すると言われています。

 

 

 

では、実際にどのような運動が効果的なのでしょう?

 

運動が脳にもたらす効果

認知機能を向上させるためには、様々な種類の運動を

取り入れた方がより効果的ということが

多くの研究で分かってきています。

 

筋力トレーニングIGF-1という

脳神経の情報の伝達や神経や血管の新生などを担う

成長ホルモンの生成を促し、

対して有酸素運動は先に出た、

神経細胞の成長や再生に関わるBDNF

分泌されると言われています。

 

 

ブリティッシュコロンビア大学の研究では、

軽度認知障害のある女性を有酸素運動(ウオーキング)グループと

筋力トレーニンググループに分け、6か月後に彼女たちの

認知機能の変化を調べました。

 

結果はどちらのグループも空間記憶…目的地や

自分の現在地を特定する能力が向上したそうです。

加えて筋力トレーニングを行ったグループは

行動や思考をコントロールする実行機能連想記憶が、

有酸素運動グループは言語記憶がそれぞれ

改善されたとの結果であったようです。

 

有酸素運動も筋力トレーニングも、どちらも

認知機能にプラスの効果があるのならば、

それらを組み合わせたら実際にどんな恩恵があるのでしょうか?

 

フローニンゲン大学は認知症の患者を

有酸素運動のみ行うグループと、

有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせたグループ、

そして何も運動はしないグループに分け、9週間後に

その認知機能の変化をテストするという研究を行いました。

 

結果は、有酸素運動と筋力トレーニングを行った

グル―プの患者の実行機能の改善がもっとも

著しかったそうです

 

WHOのガイドラインでも、

・少なくとも1回10分以上の有酸素運動を週あたり150分以上、

・週2回以上の筋力トレーニングや週3回以上のバランストレーニング

を推奨しています。

 

まとめ:

・認知症は全世界で急速な増加傾向にある

・認知症に関わるコストも比例して増加している

・運動は、認知症の予防・もしくは軽度認知症の患者に対して

改善の効果を見込める

・有酸素と筋力トレーニングを組み合わせた運動が認知機能の

改善には有効である

 

有酸素運動として散歩やジョギングなどを

行うことはすぐにでも始めることが出来るでしょう。

 

しかし、筋トレなんてしたこともないから

怪我をしそうで不安…

そもそも何をしたら良いか分からない。

という方は多いと思います。

 

そんな方にこそ、

パーソナルジムはおあつらえ向き。

一人ひとりのお身体の状態や運動歴に応じて

エクササイズを指導しますので、

体力に不安があったり、

怪我や疾患をお持ちの方でも

安心して身体を動かして頂けます。

 

将来の健康のためにも

パーソナルジムなどを活用し、

自分に合った運動を今から始めてみてはいかがでしょう?

 

 

参考:

 

安野史彦 アルツハイマー認知症型患者の脳内炎症動態を反映する血液・髄液中の炎症系物質に関する研究. 国立長寿医療研究センター

 

佐渡充洋 日本における認知症の社会的コスト-認知症施策立案のための基礎データとして- https://dia.or.jp/disperse/dianews/pdf/dianews_no84_06.pdf

 

Alzheimer’s Disease International (2014). Dementia in the Asia Pacific Region.

https://www.alzint.org/u/Dementia-Asia-Pacific-2014.pdf

 

Bloom G.S. (2014). Amyloid-βand Tau The Tigger and Bullet in Alzheimer Disease Pathogenesis. JAMA Neurology. 71(4).  doi:10.1001/jamaneurol.2013.5847

 

Bossers et al. (2015). A 9-week Aerobic and Strength Training Program Improves Cognitive and Motor Function in Patients with Dementia: A Randomized, Controlled Trial. The American Journal of Geriatric Psychiatry. 23(11). doi: 10.1016/j.jagp.2014.12.191

 

Stigger et al. (2019). Effects of Exercise on Inflammatory, Oxidative, and Neurotrophic Biomarkers on Cognitively Impaired Individuals Diagnosed with Dementia or Mild Cognitive Impairment: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Gerontology: Biological Sciences. (74)5. 616-624.

 

Trejo et al. (2001). Circulating Insulin-like Growth Factor-I Mediates Exercise-Induced Increases in the Number of New Neurons in the Adult Hippocampus. The Journal of Neuroscience. 21(5). doi: 10.1523/JNEUROSCI.21-05-01628.2001

 

WHOガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』邦訳検討委員会(2019). 認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/20200410_theme_t22.pdf

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